皆さんは不動産屋と言われるとどんなイメージをもたれますか?
私は80年代のバブル経済の全盛期の時にも日本で不動産の仕事に携わっておりました。そしてあまり若い
女性に人気の職業ではなかったかと思います。実は私も第一希望の航空会社を落ちまして、それでなんとな
く私を採用してくれるところだったらどこでも良いよ〜という気持ちでこの業界に入ったというわけだったのです
が、、。今ニューヨークで不動産の仕事をして10年ですが、本当に日本と違う面がありいろいろと面白いんです。
まず、私の会社で働いている従業員はみな若くて本当にかわいい女性ばかりです。そしてみんな正直者!!
私の会社だけでなくニューヨークの不動産業界は若くてかわいい女性がいっぱいいます。こちらで不動産仕事
をするにはリアルエステートセールスパーソン(日本の宅地建物取引主任者のような資格)という資格が一人ひ
とりに必要なのですが、試験会場に行ってもおじさんはあまりいなく、若い女性が目立ちます。
ただこのビジネスは想像以上に競争が激しくタフで、この資格と取っても一年後には30%の人しかこの業界
に残っている人はいないそうです。日本と違って固定給はなく完全歩合制なので、契約が取れないとどんなに
がんばっても一ドルの収入もありません。しかしいわゆるパワーブローカーと言われる人は(女性が多い)年間
何億も稼ぎます。そんなタフでハードなビジネスですが、高学歴でおしゃれな女性のあこがれの職業でもある
のです。パーティなどで出会う人たちに、私は「不動産の仕事をしています」と自己紹介すると、「私にもできま
すか?」「どうすれば働けますか?」「資格はどのようにして取るのですか?」と目を輝かせて聞いてくるのは
若い女性ばかりです。 ニューヨークと言えどもまだまだビジネスの世界では男尊女卑人種差別があります。
でもこの仕事について10年、全く無いとはいいませんが、タフな分だけ実力の世界ですので、がんばれば男性
女性、アメリカ人、日本人、全く関係なく仕事が出来ます。それに日本人のお客様は、言葉や習慣の違い、女性は
女性の不動産屋の方が心安いとかあり、人種や性別関係なく働けるのです。それに比較的家にいる時間が長い
女性の方がいろいろな面で男性よりきめ細やかな説明やアドバイスが出来るのです。
ここで、私が日本で5年、ニューヨークで10年の不動産ビジネスで面白いなーと思った日米の違いを書いて
みます。
まず、日本はどの業界もそうですが、「お客様は神様です!」という常識があります。しかしこちらは全く逆で、
貸すほうがいつも神様なのです!大家さんはいつも「そうねー、あなたに貸してあげてもよくってよ、私の条件
をのむならね、、、。」くらいの勢いで言ってきます。日本では笑顔をふりまいているモデルルームのおねさん
でさえ、こちらではぶっきらぼうで、「えっ、借りたいの?借りたくないの?時間の無駄だから余計なことは聞か
ないでさっさと決めてちょうだい」ってな感じなのです。そして物件についての質問をしても自信満々で
(I don't know. 私は知らない!!)なんです。契約書も長々といろんなことが書いてありますが、いつも思うの
ですが一行で事が足りるかと、、。つまり「借りる人は大家の言うことにすべて従うこと、、。」これに尽きます。
英語の分る方は「契約書を読んでムカツキました」と言われる方が多く、私が読んで大切なところだけ説明しま
すから、あとは読まないほうが身のためですよ(笑)と冗談をいったりします。もちろん騙されるとか、契約上酷
い事がかいてあるとかではなく、内容が100%大家に有利に出来ているのです。
そして、無事契約も終り入居となる前にテナント保険というのを掛けます。こちらは日本でもあったかと思います
が、日本では主に火災や水漏れ、盗難などの為に掛けますよね。こちらでは主になんの為にテナント保険を掛け
ると思いますか?例えば友人や親戚を自宅のホームパーティや夕食に誘ったとします。そしてそこで訪問客のA
さんが床で滑って転んで腕に怪我をしたとします。そのときにAさんがあなたの家で怪我をしたのでそれに伴い治
療費、心身的なショック、休んだ仕事の賃金など一億円の損害賠償を掛けておきなさいと、こちらの不動産屋は
真顔で説明をするのです!!
私も初めは信じられませんでいたが、私のオフィスもオーナからその為の保険を2億円の損害賠償を掛けて
くださいと言わてそうしています。まだ誰にも訴えられていない私は幸運です(笑)。
日本人のお客様にこのことを説明しても100%信じていただけないので、一応半分笑い話として可笑しく説明
をしているのですが(そうでないと、なぜ自分の友人が自分の不注意でころんだのに私を訴えるのだ===と
怒り出す人もいるので)日本人にとってなかなか理解不可能なアメリカの常識もあるようです。何せこちらは裁
判の国ですから、、、。
今度は軽い話題に変えましょう。
私がお客様をご案内していて必ず聞かれるのがバスルームとキッチンに換気扇がないのですが、、と言うこ
とです。こちらは乾燥しているのでバスルームには換気扇がなくてもカビが生えることはまずないのですよと。
ではキッチンは?と。私の答えはまたまた日本人のお客様の目を点にしてしまいます。「換気扇はありません。
なぜならご飯を作らないからです!」もちろんニューヨークに住んでいる人全員がそうではないですし、郊外の
一軒家に住んでいる人は毎日料理していると思います。ただここマンハッタンに住んでいつ人たちは独身の人
や共稼ぎの人が多く、ほとんどの人がテイクアウト(お持ち帰り)、デリバリー(出前)か外食なのです。
でもキッチンは結構豪華で大型冷蔵庫、四つ口コンロのガスレンジ、巨大なオーブン、食器洗浄器、電子レ
ンジが初めからマンションについているのです。
そうそう、私が名づけた「なんちゃって換気扇」というのもあります。お客様に換気扇を聞かれたとき、「基本的
にはないんですが、なんちゃってはあります」と、、。「それって何ですか?」とき聞かれましたら気休めの換気扇、
でも音はゴ===って大きいからその気になってしまう。すなわちなんちゃって換気扇があるんです!」というと。
お客様から換気扇が無いなんて、、と起こる前に笑っていただけます。これも日米の違いを説明するとき、日本
の常識アメリカの非常識なときに怒ってしまうお客様もいらっしゃるので、なるべくこちらの不便さも笑っていただ
こうといろいろと工夫して説明をしています。
シャワーも笑えます。海外のホテルを宿泊されたことがある方は想像がつくと思いますが、なぜか固定式のシ
ャワーヘッドしかなく、それも2メーターくらいの上のところにあるんです!!アメリカ人だって背の低い人もいれ
ば子供だっていますよね、、、。でもどのマンションも全て2メーターくらいのところに固定してあるんです。これっ
て不便だな〜。お父さんの分と子供の分、二箇所にフックをつけようとか日本のようにホースをつけると家族そ
ろって便利だわ!なーんて発想が全くないんです。なので、日本人のお客様がお怒りになられる前に、ホースを
売っているお店を教えてあげるのです。「私もそうしてまーす」というと納得していただけるお客様が多いです。
電化製品も笑えます。クーラーははいまだにタイマー無し、温度調節なしの大中小。音はゴーーーーって
うるさい、うるさい。電子レンジは10年前からも今も昔も回っていません。(ターンテーブルじゃないのです。)
オーブンレンジもオーブンレンジも冷蔵庫も大きいだけ。やっぱりアメリカは便利さより何事も大きい!!Big!!が
好きなんだなーとキッチンひとつをとっても感じさせられます。
これは余談ですが、ちょっと前に日本の100円ショップがニューヨークに出来て私たち日本人は狂喜乱舞、買
いまくっていました、、。でも最近業績不振で閉店しているお店が多いのです。なぜかというとアメリカ人の人たち
は100円ショップの物が便利すぎて使いこなせないのです!!そしてお店の人も説明できないんです!!なん
だかすごーくもったいない話ですよね。でも私たちが考えている便利がアメリカ人にとってはたして便利かどうか
それはわからないなーと言うことですよね。私たちが非常識と思っていることがアメリカ人にとって非常識ではな
いと、、、。
二つの国に住んで、不動産という仕事を通して、これはこうだ、これはこうあるべきだと決め付けてしまっては全
く仕事にならないという事を学びました。日々、日本人の常識、習慣とアメリカの常識、習慣に挟まれ、けっこう大
変な事もありますが、お互いが譲歩できハッピーになれるように架け橋になるのが私の仕事だと思っています。
なかなか面白くて辞められません(笑)。
|